【ブログ】遺言書をつくっておけば、親が認知症になっても怖くない
◎認知症の親がいると遺産相続が困難
両親のうち一人が亡くなり、遺された親が認知症である場合、とても難しくなることがあります。
それは「遺産相続」です。
親の財産の多くは「預貯金」と「土地・家屋」で占められますが、
遺されたほうの親が認知症だと、この2つの手続きがほぼできなくなります。
遺産相続の仕方として、オーソドックスな方法は「相続人同士の話し合いで決定する」というものです。
この話し合いを「遺産分割協議」といいます。
そして、その協議内容を書面(遺産分割協議書)にして、
相続人全員が署名・捺印し、金融機関や法務局に提出します。
しかしながら、認知症の相続人がいる場合、この遺産分割協議ができなくなります。
自分で署名・捺印などができないからです。
遺産分割協議以外には、もう一つオーソドックスな遺産相続の仕方があります。
「法定相続分に従う」です。
この場合でも、金融機関は、所定の書類に相続人全員の署名と実印での捺印、
さらに印鑑登録証明書と戸籍謄本の提出などを求めてきます。
それが揃わない以上、金融機関はいっさい動きません。
つまり、認知症の親が相続人であると、遺産相続が前に進まなくなる可能性が高くなるのです。
これでは親の家の売却・管理なども難しくなります。
◎遺言書
この状況を回避できるツールがあります。それが「遺言書」です。
遺言書とは、遺言者が死後、自分の財産を誰に、どのように相続させたいかをまとめた文書のことです。
遺産相続では、「遺言による相続は、法定相続に優先する」という大原則があります。
この遺言書があれば、相続人に認知症の親がいても、遺言書どおりに遺産相続が進められます。
そのため、遺言書は「父親」と「母親」の2種類を作成しておくべきです。
親が元気な段階で、遺言書を作成するようお願いしましょう。
遺言書には、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。
前者は、遺言者が自分で書いて捺印するだけなので、作成は簡単です。
上の表に「盛り込む内容」を載せましたが、あまり難しく考える必要はありません。
「氏名の自書」「日付の自書」「捺印」といった作成要件さえ満たしていれば、
たとえば、「私は不動産の全財産を長男に相続させます」だけであっても遺言書として成り立ちます。