【ブログ】売買契約についてのQ&A①
Q 官民査定(公道と売買土地の境界)が未査定の場合、どうしたらよいですか。
官民査定まで時間を要し、売買までに官民査定が行えない場合がよくあります。
そのような場合には、次のような特約容認事項を入れておくことが妥当です。
「本件土地については、官民査定が未了なため、直ちに分筆、合筆ができないこと、
官民査定については買主の責任と負担で行うことを容認し、買主は、売主に対し、
損害賠償等なんらの法的請求をなし得ないことを確認します。」
Q 隣地所有者が不明等で境界確定ができない場合はどうしたらよいですか。
隣地所有者が分かるが所在不明の場合でも、筆界確定訴訟は可能です。
あるいは、不在者財産管理人の選任の申立てをして、財産管理人と協議する方法も考えられます。
一方、隣地所有者すら不明の場合、平成30年6月6日に成立した所有者不明土地法に基づき、
「所有者不明土地」(相当な努力が払われたと認められる方法により探索を行ってもなお所有者の全部又は一部を確知できない土地)について、適切な管理のために特に必要がある場合は、
地方公共団体の長が家庭裁判所に財産管理人の選任を請求することが可能となりましたので、
場合によっては、財産管理人との協議が可能な場合もあります。
民法改正により、将来的には利害関係人として所有者不明土地管理人の選任を求めることも考えられます。
Q 境界は必ず明示しなければいけないのでしょうか。境界を明示しない(できない)場合の特約を教えてください。
境界明示は、売主の物件引渡義務履行の一環として、現地において買主に対して目的物の範囲を明示し、
境界標等がない場合はもちろん、隣地所有者との間に争いがあるなしにかかわらず、
測量図面の有無・種類を明らかにし境界を明示させたうえで引渡しをすることとし、
買主との後日の紛争を避けようとするものです。
なお、引渡し前に売主が境界を明示できないために債務不履行責任を問われる事例が少なくありません。
したがって、境界は契約前に売主の責任と負担において確定させておくことが妥当でしょう。